25Dec2017White Christmas 6 (完)その年は何年かぶりにホワイトクリスマスになった。街ではきらびやかなイルミネーションが恋人たちのクリスマスを盛り上げ、あちこちに笑顔が溢れていた。「麻衣、メリークリスマス」苦痛に顔を歪め、ベッドに横たわる麻衣の腕を撫でながら悠太がつぶやいた。麻衣の両脚は付け根からシーネで固定され、...
24Dec2017White Christmas 5麻衣の店はショッピングモールの4階にあるが従業員出入り口は1階のみだった。バックヤードは階段しかないため、麻衣は仕方なく人が溢れるモールの通路を通り、エスカレーターを目指した。1歩進むだけで激しい痛みが脳天を貫く。人とぶつからないようにするだけで精一杯で、歯を食いしばっていても小...
19Dec2017White Christmas 4土曜の朝、右足首の突き刺すような痛みで目が覚めた。結局昨夜も痛みが強く、あまり眠れなかったが疲れもあってか少しは休むことができた。隣で寝ている悠太を起こさないようにそっとベッドに腰掛けて、ゆっくりと右足に力を込める。痛みはあるものの、固定をしていたおかげか幾分かはマシになっていた...
17Dec2017White Christmas 3自分の足首を見て、麻衣は言葉を失った。足の甲は倍以上に腫れ上がり、足首もくびれを失って青黒く変色していた。「腫れがひどいですね。レントゲンとりましょうか」レントゲン室の台に横になると、看護師が2人がかりで麻衣の身体を押さえつける。「少し痛いですが我慢してくださいね」予想していなか...
13Dec2017White Christmas 2麻衣は階段の下で息を整え、1歩ずつゆっくりと歩を進めた。だんだんと強くなる痛みに急に不安をおぼえる。幸い明日の金曜は休みだったが、休日には忙しく立ち回り、週明けには新商品がクリスマスに向けて多数入荷することになっていた。自分の間の悪さが悔しく、また思うように動けないことにイライラ...
12Dec2017White Christmas 1「ふぅ・・・」麻衣はスタッフルームのデスクに突っ伏し、大きく息を吐いた。「店長、大分お疲れですね・・・。寒いし、肩こっちゃいます」ちょうど裏で消耗品の在庫チェックをしていたスタッフが苦笑いで言う。「初雪だもんね・・・寒い寒い。今朝なんか、出勤の時に雪で滑ってさ。足首ズキズキしてて...