White Christmas 4
土曜の朝、右足首の突き刺すような痛みで目が覚めた。結局昨夜も痛みが強く、あまり眠れなかったが疲れもあってか少しは休むことができた。隣で寝ている悠太を起こさないようにそっとベッドに腰掛けて、ゆっくりと右足に力を込める。痛みはあるものの、固定をしていたおかげか幾分かはマシになっていた。麻衣は片方だけ松葉杖を突き、簡単に朝食を準備する。
「麻衣、おはよ・・・。俺やるよ、座ってて」
「平気、へーき!お仕事も大丈夫そうだから」
「まったく・・・麻衣は仕事大好きすぎ。無理はしないようにね」
そう言って悠太は麻衣の頭を撫で、トーストののった皿をダイニングに運んだ。悠太の優しさが、麻衣の不安を軽くした。悠太に隠れて座薬を入れ、頭痛薬を冷たい水で流し込む。クマを隠すためにいつもより濃いめにメークをし、悠太の運転で職場に向かった。
「店長・・・!?大丈夫なんですか?」
幾重にも包帯を巻かれた麻衣の右足を見て、スタッフはみな顔を蒼くしたが、麻衣は努めて明るく振る舞った。松葉杖はスタッフルームに置き、あまり動く必要のないレジやラッピングをやらせてもらったが、どうしても右足を着いてしまい、その度に小さく声を上げてしまう。お昼のピークを過ぎた頃には薬の効果も切れ、包帯がきつく感じられるほど腫れが増していた。他のスタッフに断りを入れ、早めに休憩に入る。松葉杖を突き、なんとかトイレに向かうと座薬を入れ、後半の勤務に備えたが結局痛みが引くことはなかった。
『出口のすぐ近くの駐車場にいるよ。ゆっくりでいいからね』
悠太からのラインを確認する頃には痛みと炎症による発熱で麻衣の意識は朦朧としていた。
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